環境

水資源の保全

方針・戦略

水の安全保障に関する方針

飯野海運グループでは、排水を再生処理した中水の外構部の植栽散水やトイレ洗浄水などへの利用、節水型トイレの導入、社員への節水の啓発など、テナントの皆様の協力も得ながら水資源の有効活用に努めています。また、東京都の政策を活用し、取水量と排水量のビルごとの管理などに取組むことで水資源の使用削減を行っています。

人口密集地帯である都市部においては、降水量が十分にあっても一人当たりの利用可能な水資源は非常に少なく、頻繁に渇水が発生しています。気候変動の進行によって降水量が変化し、渇水リスクの増大も懸念されています。また、飲料水(上水)には厳しい水質基準があり、その基準を満たすために飲料水の生産には大きなエネルギーが必要となり、温室効果ガス(GHG)の排出量も多くなります。

一方、オフィスビル内で使われている水の中には、トイレ用水や植栽用の水など必ずしも飲料水と同等の水質を必要としない水もあります。当社グループでは、環境への負荷が大きい上水の使用削減と水資源の有効活用のため、再生水や雨水を積極的に活用しています。

水の管理計画の状況

2023年3月末現在、当社グループが保有する国内外のオフィスビル6棟の83%にあたる5棟(飯野ビルディング、汐留芝離宮ビル、東京富士見ビル、飯野竹早ビル、NS虎ノ門ビル)で、中水の活用および水資源の有効活用に取組み、取水および排水量を集計しています。各ビルにおける取水量と排水量の管理のほか、トイレ洗浄水の節水を一部テナントにも協力いただいています。

飯野ビルディングでは水の循環利用を行っており、生活雑排水や雨水を中水として再利用するとともに東京都の広域再生水も導入し、上水道使用量を47%削減しています。また、2022年度は中水と再生水を35千m3使用しました。これは上水使用量47%削減と同等の効果があり、水資源の有効活用に寄与しています。

データ集(水資源の保全)PDF

取組み

水ストレス地域における事業展開

当社グループの国内外21拠点において、WRI(World Resources Institute)提供のAqueductに基づいた水ストレス地域に位置する状況を以下に示しています。

リスク評価の結果、水ストレスが非常に高い地域(Extremely High)に位置する拠点は2拠点で全体の9.5%、高い地域(High)は3拠点で全体の14.3%、中~高い地域(Medium High)は12拠点で全体の57.1%となっています。

売上高別にみると、水ストレスが非常に高い地域の割合は0.18%で高い地域は約0.2%となります。

船舶保有を目的とした仕組船会社を除く

水ストレス地域に位置する拠点数と割合

水ストレス 拠点数 地域別拠点数割合(%)
合計 21 100
Extremely High(>80%) 2 9.5
High(40-80%) 3 14.3
Medium High(20-40%) 12 57.1
Low - Medium(10-20%) 3 14.3
Low(<10%) 1 4.8
当社ホームページに掲載のグループ会社の拠点と駐在員事務所、所有ビル

水ストレスは「Aqueduct」を参照(2023年11月時点)(外部サイト)

東京都の政策を活用した再生水の利用

当社グループでは、東京都下水道局の下水処理水を新たな水資源(再生水)としてトイレ用水などに有効利用する取組みを活用することで、人々の生活や都市活動に必要不可欠な資源である水の循環利用と水需要の増大や渇水への対策に貢献しています。

飯野ビルディングと汐留芝離宮ビルディングでは広域再生水を中水(用途:トイレ洗浄水や植栽潅水)として利用しており、それにより飯野ビルディングでは上水道使用量を31%削減(中水と再生水の利用で47%削減)しています。

ビルの水質調査

建築物における衛生的環境の確保に適する法律に基づき、飲料水の定期検査、水槽を含めた建物の定期清掃などを実施し、ビルの安全衛生の維持を図っています。

データ集(水質検査適合)PDF

水質や取水に関する環境法の違反件数

2022年度は水質や取水に関する環境法規制の違反はありませんでした。

データ集(水質や取水に関する環境法の違反件数)PDF