サステナビリティ経営
方針・戦略
基本的な考え方
企業によるサステナビリティ(持続可能性)への取組みが従来にも増して求められている中、飯野海運グループはサステナビリティに重点を置いた経営をより一層強化しています。
環境・社会問題の解決に向けたサステナブルな社会の実現に貢献していく当社グループの姿勢を明確にするため、2024年3月28日にサステナビリティ基本方針を策定しました。ステークホルダーの皆様の期待に応え続ける企業であるため、本方針に基づき、サステナビリティに関する取組みを推進してまいります。
飯野海運グループ サステナビリティ基本方針
飯野海運グループは、企業理念として「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」を掲げ、その実現に向けて、環境・社会問題の解決に向けた企業活動に取り組みます。また、サステナビリティを重視した経営を通じ、中長期的な企業価値向上に努め、持続的な社会の実現に貢献してまいります。
1. 安全の重視
飯野海運グループは、安全の確保を経営上の最優先課題とします。
2. 人権の尊重
飯野海運グループは、すべての人々の人権を尊重し、人権啓発に努め、不当な理由による差別を禁止します。
3. 環境の保護
飯野海運グループは、内外の関連法規および国際ルールを遵守し、事業から生ずる環境への負荷の低減・環境の保全に努めるとともに、気候変動への対応・自然環境の保護に積極的に取り組みます。
4. 社会への貢献
飯野海運グループは、「良き企業市民」として地球・社会の持続的発展に貢献し、事業活動を通じ企業の持続的かつ発展的な価値向上に努め、幅広いステークホルダーからの信頼を得ることを目指します。
5. コンプライアンスの徹底
飯野海運グループは、事業活動を行う各国・地域において各法令や規則を遵守するとともに、競争法遵守・贈収賄防止体制を構築し公正な取引を推進します。また、秩序や安全を脅かす反社会的勢力・団体とは一切かかわりません。
6. 取引先の尊重
飯野海運グループは、どの取引先とも対等の立場に立ち、誠心誠意かつ親切丁寧な対応を心がけます。また取引先のニーズに迅速、的確に対応し、取引先満足度の向上に努めます。
7. ダイバーシティの推進
飯野海運グループは、多様な人材が活躍できる環境整備を行うと共に、一人ひとりが心身ともに健康を保つための取組みを推進します。
8. 情報開示とコミュニケーション
飯野海運グループは、すべてのステークホルダーの利益に配慮し、理解を得るため、十分なコミュニケーションを行うよう努めます。またグループに不利な情報も含め、適切かつ遅滞なく情報を開示します。
9. 教育・訓練
飯野海運グループは、 本基本方針がグループ内に浸透し、効果的に実践されるよう、役員・従業員に対して適切な啓蒙活動を行います。
本方針は、2024年3月28日の取締役会において承認されました。
2024年3月28日
飯野海運株式会社
体制
サステナビリティ推進体制
当社グループは2020年発表の中期経営計画「Be Unique and Innovative.: The Next Stage‐2030年に向けて‐」においてESG経営の推進を掲げ、重点強化策である「サステナビリティへの取組み」の一環として、当社グループの複数社および複数部署の人員から構成されるIINO環境タスクフォースを設立し取組みを進めてきました。
2022年6月に従来のタスクフォースを組織変更し、ESG経営をより一層強化するための専門部署としてサステナビリティ推進部を設立しました。また、同部内にはグループ横断の環境推進ワーキングチームとCSRワーキングチームを組成し、環境や人権などを含めたサステナビリティへの取組みを推進しています。
飯野海運グループのマネジメントシステム
飯野海運のマネジメントシステム認証取得状況
当社では、顧客満足度の向上と環境負荷の低減を目的として、2004年3月に海運業においてISO9001(品質マネジメントシステム)とISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得しました。さらに、不動産業においても翌2005年3月にISO9001とISO14001の認証を取得しました。当社では品質方針・環境方針を策定し、海運業・不動産業の事業全般にわたり、ISO規格に基づくマネジメントシステムを構築・運用し、業務改善を図っています。また、現在のところ、当社ではISO45001またはOHSAS18001の認証を受けていません。
飯野海運の品質方針・環境方針
品質方針
- 顧客要求事項である"船舶の安全運航による貨物の安全輸送"並びに"賃貸ビルにおける安全で且つ快適な賃貸スペースの提供"に対して高品質なサービスを提供します。
- 会社における品質に関するマネジメントシステム(QMS)を構築し、品質の目的・目標を策定し、定期的に達成状況を評価し、改善を進めます。
- グループ役職員に対し、品質に関する啓発活動を実施し、品質方針の浸透を図ります。
- 関連する法的要求事項及びその他の要求事項を遵守します。
環境方針
- 会社における環境に関するマネジメントシステム(EMS)を構築し、環境目的・目標を定め、定期的に達成状況を見直し、改善を進めます。
- 社員一人ひとりの環境意識を高め、環境保全の観点から業務を遂行できるよう、グループ役職員に対し、環境に関する啓発活動を実施し、環境方針の浸透を図ります。
- 天然資源を含む資源使用量の削減、リサイクル、廃棄物削減、省エネルギー、水使用量の削減および再生可能エネルギーへの転換などに取組み、海上運送業務、不動産業務におけるエネルギー効率の向上に取組みます。
- 生物多様性に及ぼす影響の回避と影響が及んだ際の復元に努めます。また温室効果ガスの排出を抑制し排出量を削減することで気候変動の影響に対応すると共に、大気汚染物質の排出量の削減を図るため環境負荷低減に寄与する有形・無形の資産への投資を進めます。
- 環境保全活動に反映させるためステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを行い、環境情報の収集・開示を行います。また、地域社会の一員としてステークホルダーと協働し、環境保全活動を積極的に推進します。
- 関連する法的要求事項及びその他の要求事項を遵守します。
飯野海運株式会社
社長執行役員
大谷祐介
2003年10月7日制定
2017年10月1日改訂
2022年12月6日改訂
2023年4月1日改訂
当社グループ各社のマネジメントシステム認証取得状況
当社グループでは、当社に加え、船舶管理会社であるイイノマリンサービス(株)(以下、IMS)およびビル管理会社であるイイノ・ビルテック(株)(以下、IBT)の2社が、ISO9001とISO14001の認証を取得しています。なお3社の売上高を合わせると当社グループ売上高の約90%になります。
イイノマリンサービスにおける取組み
IMSでは、「H・S・S・E・Q基本方針」(Health, Safety, Security, Environment, Quality)のもとに、ISO9001とISO14001に基づくマネジメントシステムを統合し、顧客(船主)から委託された船舶(2023年6月末時点33隻)の管理サービス事業の中にISOの規格要求事項の理念を取込み、事業運営の継続的な改善を図っています。
また、IMSでは2004年に国内で初めてとなるGreen Award認証※を取得し、環境保全のため、高い品質管理および環境管理を現在に至るまで継続しています。2022年11月には新たに対象船種に大型LPG船が加わりました。
深刻な地球環境問題を背景に、「船舶バラスト水規制管理条約」の発効やNOx・SOx排出規制等、海運業においても環境規制が厳格化される方向にあります。IMSではISO規格に基づくマネジメントシステムの運用を通じて、国内外の環境規制を確実に遵守し、これからも環境負荷低減の活動を進めていきます。
- ※
- 1994年にオランダ運輸省とロッテルダム港湾局が設立したGreen Award財団が、高い品質と安全性、環境性能を併せ持つ船舶およびその管理会社にあたえる認証
イイノ・ビルテックにおける取組み
IBTでは、管理ビル(2023年3月末時点4棟)を対象として、ISO9001とISO14001を統合したマネジメントシステムに基づき、ISOの規格要求を活かした事業活動を継続しています。飯野ビルディングをはじめとする各ビルでは、安全・環境に配慮した取組みを推進しています。
環境に関する取組みについては、省エネルギー、省資源を念頭にビル運転管理を行い、温室効果ガス(GHG)の排出削減に努め、地球環境負荷の低減に貢献しています。特に当社グループの基幹ビルである飯野ビルディングでは、東京都地球温暖化対策の第二計画期間に続いて、第三計画期間(2020年度~2024年度)においても、トップレベル事業所認定を再取得しています。
安全に関する取組みについても、東京消防庁による優良防火対象物認定(通称:優マーク)を飯野ビルディングで取得しており、2020年度にこちらも再取得することができました。また、2021年度より「事故検討会」を設け、月に一度管理するビル内で起きた事故について詳細を分析し再発防止を図ることで、テナントや来館者へ安全・安心の提供ができるよう取組んでいます。
取組み
当社グループにおけるISO9001/14001規格要求事項に即した取組みについて
当社グループにおけるISO9001、ISO14001の基本的な考え方は以下の通りです。
- まず、組織が管理(マネジメント)したい対象(ISO9001であれば業務品質、ISO14001であれば環境負荷低減)における問題点を選び出し、リスクの低減や期待できる成果の度合いによって優先順位を決め、課題を設定する。
- 次に、課題を解決するための「計画(Plan)」を立て、それを「実施(Do)」する。
- さらに実施した結果が課題の解決につながったかどうかを検証し、必要に応じて課題を「見直し(Check)」たり、実施方法を変更したりするなどの「改善(Act)」を行って、次の活動につなげていく。
「計画(Plan)→実施(Do)→見直し(Check)→改善(Act)」という組織活動のループ(「PDCAサイクル」と呼ばれる)を回すことで「継続的改善」を行うことを要求事項として定めています。
また、ISOの規格自体も適宜改訂が行われています。最近では、以下などを要点とした改訂が行われ、当社グループの認証取得会社でも新規格に合わせて品質・環境マネジメントシステムの大幅な改訂を2017年10月に実施しました。
- 意図した成果を上げることを重視
- トップのリーダーシップとコミットメントの強調
- 業務プロセスとISO規格の統合
- プロセスアプローチの採用推奨
当社グループでは、現在の中期経営計画で掲げている「高品質なサービス(IINO QUALITY)の提供追求」に向けて、上述のISO規格の考え方を踏まえ、PDCAサイクルを回すことにより、グループ全体の事業において継続的な改善活動を進めています。