2023年 社長年頭あいさつ
飯野海運株式会社代表取締役社長當舍裕己は、1月4日に飯野海運グループ全役職員に向けて2023年年頭挨拶を行いました。
2023年新年挨拶
皆さん、新年明けましておめでとうございます。2023年の仕事初めに当たり、役職員の皆様に一言ご挨拶申し上げます。
マスク越しの挨拶が当たり前となった年末年始でしたが、皆さん、お正月はゆっくりすることが出来たでしょうか。新年の抱負は立てましたか。
昨年も引き続きコロナの感染状況とその対応に悩まされた一年でした。しかし、春先以降は行動規制が解除され、社内においても出社率や会食、出張のルールを段階的に緩和したこともあり、対面でのコミュニケーション機会が飛躍的に増えた年であったかと思います。出社率が低い時期には、皆さん同様に私自身も出社しオフィスで働くことの意義を考える事が多くありました。しかし、昨年の夏以降、多くの取引先の方々と対面でお会いする機会が増え、リアルなコミュニケーションの重要性を再認識しました。例えば、相手の表情や身振り手振りなどの視覚的な情報に加え、どのような環境で働いているのかなど、色々な情報を得ながら会話のキャッチボールを続けていくことで、自分の考えが整理出来たり新しい発想がひらめいたりすることが多くありました。
一方で、この3年間でリモートワークが定着し、その利便性や効率性、あるいはBCP対応として多くのプラスの側面があったのは間違いありません。しかし、閉鎖的な職務環境になりがちなため、これまで当たり前の様に出来ていた人間が本来備えている様々な感覚を使って情報を取得し処理する能力が鈍ってしまうという側面もあったのではと感じています。皆さん、今年は、もっと社内の様々な人と交流し、多くの取引先や現場を訪問できるよう、意識し行動に移してみませんか。私が常々話している、自由な発想や変革を行うためには、鈍った感覚を呼び起こし、脳に刺激を与え活性化することが大切です。勿論、感染防止対策はしっかりと取ってください。
さて、現行の中期経営計画「Be Unique and Innovative. : The Next Stage‐2030年に向けて‐」は、終了まで残すところ後3ヵ月となりました。最終年度である2022年度の連結業績は、昨年11月に開示した通り、経常利益、純利益において飯野海運史上最高益を予想し、中期経営計画の
数値目標も達成できる見込みです。最高益の理由としては、為替相場の円安もありますが、海運市況、特に当社の主力の一つであるケミカルタンカーの市況が高い水準で推移したことによります。
当社は、ロシアによるウクライナ侵攻には一貫して反対を表明し、早期の戦争終結と平和の実現を切願していますが、この有事により海上物流が大きく変化し、石油製品やケミカル製品の輸送需要が急増しました。このような環境変化にも、当社は、船舶管理と運航管理の質を落とすことなく輸送サービスを提供し、旺盛な需要を取り込んだことで、前年度に比して大幅な増益を見込む事となりました。昨年は、ウクライナ危機により世界が激しく揺れ動いた一年でしたが、同時に海運業の社会インフラとしての使命を改めて認識した年でもありました。
急激な輸送パターンの変化と需要の増加は、そこに物が不足している、困っている人々が存在していることに他なりません。それらのニーズにいち早く応え、安全かつ確実に物資を届け、受け取る人にも送った人にも安心を提供することは、言うまでもなく当社海運業の原点です。
また、不動産業に関してはコロナ禍により人々の働き方が変わりました。今の世の中で求められるオフィススペースとはどのような空間なのでしょうか?人々がそれぞれの経済活動や社会活動を安心して行えるスペースを提供することが当社不動産業の原点です。
海運業と不動産業。我々の行っているこの両事業は社会を支える社会インフラを提供する事業なのです。飯野海運グループの存在意義とは何か、社会的価値を如何にして産み出すか、この大きなテーマを改めて考える良い機会だと思います。皆さん一人一人が考えてみて下さい。
さて、今年の4月からは新しい中期経営計画がスタートします。ワールドカップサッカー日本代表は惜しくもベスト8進出ならず、新しい景色を見ることはできませんでしたが、当社においては、先ほど触れた好業績により連結純資産は昨年9月末に1,000億円を突破しました。当社は、正に新たな景色が見える経営のステージに立ったと言えます。昨年も、エタン二元燃料主機搭載の新造大型液化エタン船(VLEC)2隻の長期定期用船契約の獲得や、不動産業においても、米国ポートランドにおける再開発事業や、ダラス近郊での木造オフィスビル開発への参画など、当社グループ初の試みとなる案件が多くありましたが、会社の財務体質がより強固になり、投資や新しい取組みへのチャレンジがこれまで以上にできる状況にあります。過去3年間は新型コロナウィルスのパンデミックや、ウクライナ危機という突発的なリスクの発生と、脱炭素を始めとするサステナビリティやデジタルトランスフォーメーション(DX)といった時代の大きな流れが加速しました。今後も先の予想が難しく変化のスピードがとても速い時代が続くでしょう。このような時代に対応し、新たなチャレンジを続けていくためには、自分の身を変化の大きい環境下に置き、様々な刺激を受けながら変化に適応していく事が必要です。冒頭で触れたとおり、外に出て、人に会って、多様な考えに触れ、新しい経験を積み上げることで、皆さんの見識が広がり自身の成長に繋がります。少数精鋭の飯野海運グループにおいては、皆さん一人一人のレベルアップが、会社の成長の大きな原動力になるのです。
新中期経営計画の内容については、4月の公表に向けて検討を行っています。成長機会を皆さんに提供し仕事を通じて個のチカラを伸ばしていく事、そしてそれを存分に発揮できる職場環境を整えていく事、これらを力強く推進していきます。
今年は、新たなステージの上で新中期経営計画の下、これまでの挑戦をより一層加速させる年です。
さあ皆さん、心機一転。一緒に新たなスタートを切りましょう。
結びにあたりまして、
グループ全船の安全運航、所有ビルの安全無事故
グループ各社の一層の繁栄
グループ役職員の皆様ならびにそのご家族のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、私の挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。
以上