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海運業

環境配慮型VLGC「Oceanus Aurora」をBorealis社との長期用船契約に投入開始

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飯野海運株式会社/Borealis AG

  • LPG二元燃料主機関と風力補助推進装置を搭載した環境配慮型VLGC(大型ガス船)
  • 長期契約により当社グループの安定収益源の積み上げに寄与するだけでなく、Borealis社による大西洋間の原料調達コストの低減に貢献
  • 今回の契約により当社グループの2050年カーボンニュートラル達成並びにBorealis社の炭化水素およびポリオレフィン事業分野でのエネルギーおよび気候に関する目標の実現に向け前進

海上業界におけるグローバル企業を目指す当社は、高度かつ持続可能なポリオレフィン・ソリューション分野における世界的なリーディングメーカーであるBorealis社と環境配慮型VLGC「Oceanus Aurora(以下、本船)」の長期用船契約を締結しました。本船は2021年に当社が発注し、2023年3月に竣工、同年5月14日にBorealis社へ引き渡されました。

本船は91,000m3型のVLGCで、北米からKallo(ベルギー)、Stenungsund(スウェーデン)、Porvoo(フィンランド)など、欧州にあるBorealis社の各工場に主にプロパンやブタンなどの原料を輸送します。本船は、2016年からStenungsundにエタンを輸送する二元燃料主機関搭載MGC(中型ガス船)「Navigator Aurora」につぐ、2隻目のガス船としてBorealis社の船隊に加わります。

本船は、二元燃料主機関により、液化石油ガス(LPG)または低硫黄燃料のいずれかを燃料として使用することができ、LPG燃料で発電可能なシャフトジェネレーターモーターシステムを搭載しています。これにより、燃料消費量を削減し、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、二酸化炭素(CO2)、粒子状物質など、船舶由来の大気汚染物質を有意に低減します。

本船の環境フットプリントは、Norsepower社製のローターセイルという革新的な風力推進補助装置の設置により、さらに改善されます(2024年4月-6月に設置予定)。このローターセイルは、フレットナー・ローターの原理と現代の技術とを融合したものです。モーターで甲板上のローターセイルのシリンダーを回転させ、風と回転するシリンダーによるマグナス効果で、推進力を生み出します。ローターセイルは主推進システムを補完し、燃料消費量、排出量、運航コストの削減に寄与します。

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Photo: Oceanus Aurora
Photo: ©DSME

飯野海運株式会社 ガス船部管掌執行役員 小薗江 隆一コメント
「飯野海運では、60年にわたるLPG輸送の経験とノウハウを活かして、より環境に配慮した持続可能な輸送を実現します。Borealis社は、革新的な技術を活用して環境負荷を低減するという信念を共有するパートナーです。この長期用船契約によって、当社とBorealis社との長期的かつ相互に有益なパートナーシップが結ばれることを喜ばしく思います。」 

Borealis社 Senior Vice President Hydrocarbons & Energy, Thomas Van De Velde氏コメント
「コスト競争力のある原料を欧州の当社工場に輸送するためには、あらゆる機会を利用して、さらに独立性と柔軟性を高めることが重要です。当社船隊にOceanus Auroraが加わることで、機動的な原料調達につながるだけでなく、当社のエネルギー・気候に関する戦略目標に沿った形で、当社の事業が環境に与える影響を軽減させることができます。当社はより持続可能な生活の実現のため、必需品分野における改善を続けています。」

以上

問い合わせ先)

飯野海運株式会社:
SR 広報部
Tel:+81 3 6273 3069(Tokyo, Japan)
E-mail:ikk_srpr@ex.iino.co.jp
Borealis:
Borealis Group Media Desk
Virginia Wieser, Lena Lehner, Karin Schober
Tel:+43 1 22 400 899 (Vienna, Austria)
E-mail:media@borealisgroup.com

飯野海運について
飯野海運は1899年設立の東京に本社を置く海運会社です。飯野海運グループは、原油、LNG、LPG、アンモニア、石油化学製品、乾貨物などのエネルギー資源およびその関連製品の輸送に特化した船主およびオペレーターとして、全世界で輸送サービスを展開しており、2023年3月現在、大型LPG船(VLGC)7隻、小型ガス船24隻、ケミカルタンカー37隻、ドライバルク船20隻、大型LNG船1隻、大型原油タンカー(VLCC)4隻の合計93隻を保有・運航しています。
液化ガス輸送においては、1960年に日本初の加圧式内航LPG船、1963年に外航LPG船による輸送サービスを開始して以来、60年以上の歴史を有しています。以来、LPG、LNG、アンモニア、エチレンなどの液化ガス輸送において、長年の経験とプロフェッショナルな人材に裏打ちされた技術力と船舶管理でお客様に安全・安心な輸送サービスを提供してまいりました。
飯野海運グループは2030年までに輸送単位当たりの温室効果ガス排出量を2020年比で20%削減、2050年にカーボンニュートラルの達成を目標に掲げるなどサステナビリティの取組みも積極的に進めています。
詳細については、当社ウェブサイト(https://www.iino.co.jp/kaiun/english/)をご覧ください。

Borealis社について
Borealis社は高度でサステナブルなポリオレフィン生産メーカーとして世界トップクラスのリーディングカンパニーであり、再生プラスチックにおいては欧州市場の先駆者です。基礎化学品、肥料分野ではヨーロッパにおけるマーケットリーダーでもあります。ポリマーに関する専門知識と数十年にわたる経験を活かし、消費財、エネルギー、ヘルスケア、インフラ、モビリティなどの主要産業に対して、付加価値の高い革新的で循環型の素材ソリューションを提供しています。持続可能な生活のための必需品の再考案において、私たちは、安全、従業員、革新と技術、そして卓越したパフォーマンスへのコミットメントを基盤としています。ポリオレフィンの循環型経済への転換を加速させ、世界中のお客様により良いサービスを提供するために、地理的な拠点を拡大しています。
オーストリアのウィーンに本拠地を置き従業員は7,600名、120か国以上で事業を行っています。2022年の純利益は21億ユーロで、国際石油ガス事業会社OMV社(在オーストリア)が75%、アブダビ国営石油会社ADNOC社(在アブダビ)が25%の株式をそれぞれ保有しています。
Borealis社の製品やサービスはBorealis社と2つの重要な共同出資会社、Borouge社(UAEに拠点を置くADNOCとの共同出資)とBaystar™社(米国に拠点を置くTotal Energies社との共同出資)によって全世界に供給されています。
【Borealis社のウェブサイト】
www.borealisgroup.com|www.borealiseverminds.com