三井物産向け新造アンモニア運搬船「GAS INNOVATOR」が竣工
当社が韓国の現代尾浦造船(以下、現代尾浦)*¹に発注していた23,000m3型アンモニア運搬船(以下、本船)が、本日竣工し、運航を開始しました。本船の竣工にあたり、同日、現代尾浦蔚山工場にて命名竣工式を行い、本船は「GAS INNOVATOR」(ガスイノベーター)と命名され、「時代の要請に先駆けて着手し、革新的な挑戦を続けることで持続可能な社会の実現に献身的に取り組んでいく」といった思いが込められています。

本船は、米国American Bureau of Shipping(ABS)によるアンモニア燃料船化の基礎認証を受けて設計・建造された世界初のアンモニア運搬船で、ゼロエミッション燃料として注目されるアンモニア燃料への将来的な切り替えに対応可能な本邦海運会社が建造する初めての環境負荷低減型の船舶です。また、船内ビデオカメラの映像をAIにより画像認識・解析することで不安全状態(煙・火災・油漏れ等)や不完全行動(保護具未着用・転倒・居眠り等)を早期に検出するサービスや、船陸間の高速データ通信が可能な衛星ブロードバンドインターネットが導入され、当社グループの安全運航の高度化と現場の技術的知見をデータとして組織に蓄積し、活用が可能となるような試みが多く採用されています。
本船は、三井物産株式会社(以下、三井物産)*²が扱う、主に東南アジアから日本を中心とする北東アジアへのアンモニアの輸送に従事し、化学・肥料を主とする需要家向けのアンモニア供給を担います。また、株式会社JERA(以下、JERA)と株式会社IHIが2023年度から碧南火力発電所4号機において開始を予定している、燃料アンモニアの大規模な転換技術の確立に向けた実証試験*³で使用される燃料アンモニア輸送にも従事する予定です。
当社グループは長年にわたり、国内外の荷主や用船者との中長期契約を礎としてLPG・アンモニア・LNGなどの液化ガス輸送に従事してきました。また、海運業においては、2030年までにトンマイル当たりの温室効果ガス排出量を2020年度比20%削減する目標を掲げており、本船の竣工もその取組みの一環です。本船の竣工を皮切りに、持続可能な低炭素社会の実現に向け、更なる取組みを進めてまいります。
<本船概要>
全長:155.96m
全幅:25.50m
型深:15.90m
喫水:9.00m
主機:HHI-EMD/Hyundai-B&W 5S50ME-C9.7-HPSCR
(*¹)現代尾浦造船
中小型ガス船・タンカーの建造で世界有数の実績を有し、当社は、2019年に三井物産と共同でメタノールを燃料とするケミカルタンカーを建造しています。
(*²)三井物産株式会社
約50年に亘りアンモニアグローバルトレーディングの実績があり、特に日本への輸入においてはトップシェアです。培われてきた国内外のパートナーとの強固なネットワークを元に、クリーンアンモニアの大規模なサプライチェーン構築を目指し、世界各地で先行してクリーンアンモニアの製造事業の立ち上げを進め、各国・各地域での多種多様な産業を通じ、脱炭素社会の実現に向けた取組みを進めています。
(*³)燃料アンモニアの大規模な転換技術の確立に向けた実証試験
JERAの碧南火力発電所4号機(発電出力:100万kW)において、2023年度から開始する燃料をアンモニアに20%転換する実証試験です。大型の商用石炭火力発電機において燃料をアンモニアに20%転換する実証事業は世界初であり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け実施するものです。三井物産とJERAは同実証試験で使用される燃料アンモニアの売買契約を2023年6月に締結しています。
過去の当社リリース(2021年10月14日):三井物産向けアンモニア運搬船の定期用船契約について
本件に関するお問い合わせ
ガス船部 LPG船課 03-6273-3098
問い合わせフォーム:https://www.iino.co.jp/kaiun/contact/
以上