ケミカルタンカーって?
飯野海運グループは、業界トップクラスのケミカル船隊を運航し、全世界で石油化学製品を中心とした液体貨物を輸送しています。
長年の経験とノウハウをもとに、安全・安定輸送を実現し、特に中東から極東・欧州への石油化学製品の輸送においてはトップシェアを誇っています。ケミカルタンカーの貨物や船体構造、飯野海運の主要航路などについてご紹介します。
貨物のこと
天然資源化学製品(簡略図)
石油・LPG・天然ガスなどを原料とし、多様な化学製品が製造されています。
原油から精製されるナフサや、天然ガスなど従来型の原料に加えて、石炭由来やメタノール由来の化学品製造も行われています。
当社グループケミカル船の積載貨物
ケミカルタンカーでは、あらゆる液体貨物を輸送することができます。
当社グループのケミカルタンカーは、主に以下のような貨物を運んでいます。
当社グループ
ケミカルタンカーの
積載貨物内訳
(2023年度実績)
当社グループケミカルタンカーの積載貨物内訳
(2023年度実績)
■石油化学製品:57.5%
メタノール/エチレングリコール/スチレンモノマー/ベースオイル/CX など
■非石油化学製品:42.5%
リン酸/硫酸/エタノール/パーム油/苛性ソーダ
STOWAGE PLAN
(積付けプラン)の作成
あらゆる液体貨物を積むことのできるケミカルタンカーを運航するには、貨物の積載量や配船効率に加えて、貨物の特性を充分に理解し積み付けの計画を行う必要があります。
隣接する貨物同士に問題がないか、構造上の制約はクリアしているか、前の貨物が次の貨物に悪影響を及ぼさないか等、さまざまな要素を考慮しStowage Planを作成しています。
船体構造のこと
ケミカル船 船体構造
あらゆる液体に対応し、1隻で多品種の貨物を積むことができるケミカルタンカーには、以下のような特徴があります。
マニホールド
▶マニホールド(タンク底から伸びたパイプの出口・陸上設備との接続部分)はタンクと同じ個数が搭載されている
※オイルタンカーでは1隻にマニホールド3つ程度
当社グループケミカルタンカーのタンク数は、14~20程度
カーゴタンク
▶各タンクにポンプがついており、それぞれ別な貨物を積載できる
※オイルタンカーでは1隻にポンプ3つ程度
▶各タンク内にタンククリーニングマシーンを搭載
▶タンククリーニングを容易に行うため、タンク内部からは極力構造物(補強材・配管・機器類など)を排除→甲板上の構造物が多い
▶カーゴヒーティングコイルや撹拌設備などを搭載し、貨物の性質に応じて温める冷却する・撹拌するなどして輸送効率を向上
タンク素材
▶積載できる化学製品を想定して設計
▶多品種の液体化学製品を積載
▶腐食に強い材料
▶液体化学製品が混ざらない仕様
■コーティング・・・比較的安価
Epoxy(樹脂)Coating:酸・メタノール積載には不向き
ZINC (亜鉛)Coating:酸・ジェット燃料積載には不向き
■ステンレスタンク・・・高価
SUS 316:酸でも積むことができる、タンククリーニングが容易
当社グループ
ケミカルタンカーの
タンク素材
(2024.3.31時点)
当社グループケミカルタンカーのタンク素材
(2024.3.31時点)
■Stainless Tank
■ZINC Coating
タンククリーニング
前の貨物が次に積載する貨物と混ざって品質を落とさぬよう、タンク内部のクリーニングを行っています。
ステンレスタンクは樹脂や亜鉛でコーティングされたタンクに比べてクリーニングが容易で、当社グループのケミカルタンカーの多くがステンレスタンクを採用しています。
貨物特性の熟知や、適切なタンククリーニングノウハウの蓄積が不可欠な要素となっています。
航路のこと
中東積み極東・欧州揚げ航路でトップシェア
世界最大級の石油化学製品供給地・中東と、最大の消費地・中国ならびに欧州を結ぶ石油化学製品輸送において、輸送量では世界トップシェアを誇っています。飯野海運グループは、お客様の細かなニーズに応えるべく、業界トップクラスの船隊規模を生かして効率的な配船を行っています。
北米ではシェール由来の石油化学製品出荷増大が期待されていますが、米国の海運会社と合弁事業を行うなど、大西洋などその他の航路においても輸送シェアの拡大を図っています。