海運業

大型ガス船

大型ガス船部門は、LPG(液化石油ガス)やLNG(液化天然ガス)といった液化ガスを輸送するため、冷凍タンクやコンプレッサーといった特殊設備を備えた大型のガス船を中心とした船隊を運航しています。

飯野海運グループにおける大型ガス船の歴史は、1963年の外航大型LPG船「豊洲丸」の竣工に始まり、業界においてもパイオニア的な地位にあります。その長い歴史と経験、技術力に裏付けられた安全で安定的な輸送サービスは国内外の顧客から高い評価を得ており、中・長期契約を中心に幅広く営業展開をしています。

LPG輸送においては、業界のパイオニアとして培ってきた豊富な経験を生かし、主要輸入国である日本を含む極東や需要が拡大しているインド、東南アジア向け輸送をはじめ、世界各国を結ぶLPGの海上パイプラインとしての役割を担っています。

脱炭素の潮流の中でもLNGはその経済性や環境性から今後もベース燃料としての役割を期待されており、世界各地でのLNG開発プロジェクトの進展とともに海上輸送量が増大しています。飯野海運グループは、日本向けはもとより、三国間のLNG輸送プロジェクトにも早くから参画してきました。2005年からは、海外用船者向けLNG船「SK SUNRISE」でLNG船の自社管理を行っており、LNG輸送事業経験の蓄積及び事業拡大を図っています。

当社グループの中期経営計画において、脱炭素化の加速により今後ガス輸送の需要が高まると見込んでおり、外航ガス船事業を成長・新規事業と位置付けています。これまで蓄積した液化ガス輸送の知見や管理ノウハウを活かし、次世代燃料の候補の1つであるアンモニアを貨物および燃料として取り扱う実績・技術をさらに高め、脱炭素実現に向けた取り組みを推進したいと考えています。

2022年11月には、当社初となる液化エタン船2隻の長期契約を締結しました。エタンは、プラスチックなど化学製品の原料であるエチレンを生産する際に使用され、従来のエチレン原料である原油由来のナフサよりも安価且つ環境にも優しいことから、注目されている化学原料です。両船はエタンを燃料として使用可能な環境負荷低減型の推進機関を搭載しており、2025年後半以降に竣工する予定です。

また、従来の重油に加え、LPGも燃料として使用可能な二元燃料ディーゼル機関を搭載した大型LPG船「CALLUNA GAS」が2022年2月に、「OCEANUS AURORA」が2023年3月に竣工しました。両船が燃料として使用する LPG は、二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)及び窒素酸化物(NOx)排出を従来の重油と比較して大幅に削減可能であり、安全且つ環境負荷の少ないクリーンなエネルギーです。両船は、2022年以降に建造契約が締結される大型ガス船等に適用されるさらに強化された二酸化炭素排出量規制を先取りして適応した最新鋭船です。

さらに、2027年1月~3月竣工予定の93,000㎥型Ice Class大型LPG船の長期定期用船契約を締結しました。本船は当社にとって3隻目のLPG二元燃料主機関搭載大型LPG船となります。

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