MENU

「海×陸」合同座談会

海上職から陸上職へ。
互いに刺激し合えるから
成長できる。

飯野海運の海上職には、キャリアの過程で少なくとも1回、陸上職を経験するジョブローテーション制度があります。この制度により、機関士として8年間を過ごしたK.Kさんは現在、本社にて工務監督を務めています。挑戦するのは、「ローターセイル搭載プロジェクト」。連携する陸上職のプロジェクトメンバー2名を交え、海上職と陸上職の関係性や交流について語り合いました。

Member Profile

B.K

飯野海運株式会社
技術部 技術課
2023年入社

K.K

イイノマリンサービス株式会社
船舶管理部 貨物船管理課 工務監督
2015年入社

S.K

飯野海運株式会社
貨物船部 専用船課 課長補佐
2012年入社

Topic01

同じプロジェクトに向き合うのは、
バックグラウンドの異なる3名。

S.K

我々3名は、同じプロジェクトにアサインされているメンバーです。普段からよく話している間柄ですが、改めて入社の経緯やこれまでのキャリアを振り返ってみましょうか。まずは今回の主役であるK.Kさんからどうぞ(笑)。

K.K

そうですね。私はもともと船乗りになりたくて海洋学部に進学しました。機関士を目指して勉強するなかで、石油タンカーなどの危険物船舶への思いが募り、そうした船種に強い飯野海運に入社しました。独立系で規模も大きくないから、自由にやりたいことに挑戦できるんじゃないかという期待もありましたね。入社後は、サードエンジニア、セカンドエンジニアとして、機関室の中でエンジンのメンテナンスを担当したほか、ガスエンジニアとして、LPG船・LNG船特有の荷役機器のオペレーションとメンテナンスも担当。今年の5月にジョブローテーションで陸上職へと異動し、船舶管理会社のイイノマリンサービスで工務監督を務めています。

S.K

私は大学院まで造船工学を学びました。ただ、船を完成させるまでのプロセスよりも、その船をどう使うかに興味があって。あんなに巨大な船舶が、大海原を航行する。そこにロマンを感じて飯野海運に入社しました。船の一生に関われるなんて、かっこいいじゃないですか(笑)。入社後は船舶管理の経理を経て、現在の営業職へ。最初は運行管理が中心でしたが、だんだんと荷物の集荷など、いかにも営業という仕事にシフトし現在に至ります。

B.K

この中で唯一の転職組が私です。一貫して「面白そうかどうか」という基準で進路やキャリアを選んできました。大学では画像工学を学び、卒業後にはワーキングホリデーでオーストラリアへ渡り、帰国すると縁もゆかりもない造船会社に入社。その後、船舶管理会社を経て2023年に飯野海運へ。このプロジェクトがまさにそうですが、新しい技術が学べそうなことに惹かれました。

Topic02

「世界初」への挑戦には、
海上職の視点が欠かせない。

S.K

今回皆さんと一緒に取り組んでいるのは、ローターセイルという風力推進装置を船に設置するプロジェクト。甲板に大きな穴を開けて、高さ24メートルもの巨大な筒状構造物を埋め込む大工事です。狙いは、動力源に占める化石燃料の割合を少しでも減らし、二酸化炭素排出量を削減すること。会社からの期待も大きい。

B.K

環境にやさしい船舶の導入は、海運業界のトレンドですからね。搭載後は二酸化炭素排出量を最大10%程度削減できます。

K.K

B.Kさんと私は、中国の港湾で行われる入渠工事に立ち会いますよね。ドックヤードの担当者、ローターセイルのメーカー担当者と打ち合わせをしながら、工事が順調に進むようにマネジメントするのが私のメイン業務です。

S.K

私は営業側の担当者として荷主さんや社内各部門と会話し、全体のコスト管理や進行管理を行っています。今までは造船所経験者がいなかったので、細かいことはどうしても外注しないとできなかった。B.Kさんという造船のプロが加わったおかげで、ようやく挑戦する土台が整いました。技術面でとても頼りにしています。

B.K

頑張ります。すごく大変ですけどね(笑)。船舶を改造するという時点で難度が高い。しかも石炭専用船に搭載するのは世界初の試み。一筋縄ではいきません。でも、誰もやったことのないプロジェクトに挑戦させてもらっていることに、すごくやりがいを感じています。

S.K

同感です。もうひとつのやりがいは、バックグラウンドの異なる皆さんと一緒に働けること。視点の違いにハッとさせられる場面がよくあるんです。例えばK.Kさんなら、「船にローターセイルがついたら、機関士や航海士の仕事にどう影響するか?」という視点で意見を投げかけてくれます。我々陸上職は船に乗らないので、どうしても使い勝手という視点が抜けてしまう。そこをたくさん助けてもらっています。

K.K

機関士としてはやはり、ローターセイル搭載後にどのように運用していくかが大事なので。後になってから使いづらいとならないように調整するのが、私に期待されている役割だと思っています。私自身も、このプロジェクトを通してたくさんの気づきをいただいています。海上にいるときは基本的に、担当船舶としか向き合いません。でも今回、世界にどんな技術があるかを知り、その中でも最先端の取り組みに携われるのはとても貴重な経験です。

Topic03

助け合い、刺激し合うなかで得た学びが、
かけがえのない財産に。

B.K

K.Kさんにとって、この陸上勤務にはどんな発見がありましたか?

K.K

陸上職の皆さんと働くようになって改めて知ったことがあります。それは、乗組員だけが船を動かしているわけではないということ。大前提として、運賃やメンテナンス費用など収支に関わる部分を営業の方々がマネジメントしてくれるから、船を航行できるわけです。費用対効果の話を毎日のように聞くなかで、そのことが身に染みてわかりました。当たり前かもしれませんが、自分にとっては大きな気づきでした。

S.K

勉強になるのは、営業の私も同じです。海上職上がりの方と話していて強く感じるのは、「なんでも自分で解決しよう」という一貫した姿勢です。クルマが壊れたら整備工場に持っていけばいい。でも船はそうはいかない。船員さんはまず自分たちでどうにかしようとする。ものすごく器用なんですよ。ちょっとした代替部品なら、その場でつくってしまう。機関士は専門外のことでも、なんとか工夫して切り抜けようとする。すごく勉強になります。私もすぐ人に頼るのではなく、まず自分で解決しようと考えるようになりました。

B.K

それ、すごくわかります。K.Kさんみたいな海上のプロフェッショナルと一緒に仕事ができるのは、本当に刺激的で楽しいですよね。

K.K

ありがとうございます(笑)。入社前から想像していた通り、海上でも陸上でも、幅広く挑戦させてもらっています。望み通りのキャリアを歩めて、この会社を選んで良かったです。特にこのプロジェクトは、メインで動いている担当者が30代の若手ばかり。自分たちが主役となって推進できます。上司や先輩もまず肯定的に受け止め、背中を押してくれる。だから心置きなく、新しいことに挑戦できています。

S.K

若手の意見を聞こうという文化がありますよね。もちろん、最終的には収益面で成立するかなどの精査が入ります。でも「前例がないから」という理由で却下されることはない。言われたことを言われた通りやるのではなく、自ら考えてどんどん意見を出したい人にはとてもいい会社だと思います。

B.K

そうですね。他の部署に相談に行ったときも力になってくれます。我関せずという人がいない。ベテランの方々もすごく勉強していて、「どうしてそんなことまで知っているの!?」とよく驚いています(笑)。そんな頼りになる先輩のサポートを得ながら、自由にやらせてもらえるから楽しいんです。

K.K

安全面ではルールを厳守しますが、その一方で挑戦する余白もあるところは、飯野海運らしさかもしれませんね。海上職に復帰したら、後輩に伝えたいですね。さまざまな部署の方々との関わりがあって初めて、この船は動いているんだよと。そして、全体を俯瞰しながら動けたら、もっと挑戦するのが楽しくなるよと。